Bluesky を使っていない人のための解説

青空の裏がわ

Bluesky(ブルースカイ)は、みじかい文章を書いて人に見せるアプリだ。見た目はよくあるSNSに似ている。

でも、画面の裏で動いているしくみが、ほかのSNSとはっきり違う。ここではその裏がわを、順番に開けていく。うまくいっていない所も、かくさずに書く。

1 — いちばん大きな違い

アカウントを、まるごと持って引っこせる

ふつうのSNSでは、書いた文章も、フォロワーの名簿も、会社のコンピューターの中にある。アプリが嫌になってやめたら、全部そこに置いていくことになる。友だちとのつながりも、そこで切れる。

Bluesky はここが違う。あなたの投稿とフォローの名簿は、持ち運べる荷物として作られている。べつの会社のアプリに引っこしても、荷物ごと移せる。名前も、フォロワーも、そのままだ。

たとえるなら、住んでいる部屋ではなく、荷物のほうが自分のものだ、ということ。大家さんが気に入らなければ、荷物をまとめて別の家に移ればいい。

2 — 裏で動いているもの

ひとつの会社ではなく、四つの役わりに分かれている

あなたが「投稿する」ボタンを押してから、その文章が誰かの画面に出るまで、四つの場所を通る。ふつうのSNSでは、この四つを全部ひとつの会社がやっている。Bluesky ではバラバラにできる。

1

あなたの倉庫 PDS

書いた文章がしまわれる場所。ここが荷物の置き場だ。Bluesky 社の倉庫を借りてもいいし、自分でパソコンを用意して自分の倉庫を建ててもいい。引っこしはこの倉庫ごと動かすことになる。

2

集配所 Relay

世界じゅうの倉庫を見回って、「いま新しい投稿が出たよ」とまとめて流す係。郵便の集配所に近い。中身を選んだり消したりはしない。ただ集めて流すだけだ。

3

組み立て係 AppView

流れてきた大量の投稿を、読める形に組み立てる。返信をつなげて会話にしたり、いいねを数えたり、検索できるようにしたりする係だ。

4

アプリ Client

あなたが指でさわる画面。公式のアプリのほか、ほかの人が作ったアプリもある。同じアカウントのまま、好きなアプリで入れる。

PDS あなたの倉庫 公式アプリ べつのアプリ 写真だけのアプリ どれで入っても 中身は同じ
倉庫とアプリが切りはなされているので、アプリを取りかえても中身は動かない。アプリが一つ閉じても、あなたの投稿は消えない。

3 — 名前のしくみ

住所は自分で決められる

Bluesky の名前(ハンドル)は、alice.bsky.social のような形をしている。ここで面白いのは、自分のホームページのアドレスをそのまま名前にできることだ。学校が tanaka.school.jp のような名前を配ることもできる。

その名前が本物かどうかは、ホームページ側に置いた合図で確かめられる。だから「公式マーク」を会社にもらう必要が少ない。名前そのものが証明になっている。

そして名前の裏には、変わらない番号(DID)がついている。名前を変えても、この番号は同じままだ。だからフォロワーが迷子にならない。

4 — 見えかたを選ぶ

「おすすめ」を作る人を、自分で選ぶ

ほかのSNSでは、何を見せるかを会社のコンピューターが決める。あなたはそれを止められない。

Bluesky では、その「並べかた」を誰でも作れて、公開できる。これをフィードと呼ぶ。

フォロー中 フォローした人の投稿が、新しい順にそのまま出る。何も混ぜない。これが最初から用意されている。

誰かが作ったフィード 猫の写真だけ、科学の話だけ、日本語の投稿だけ、というふうに、作った人のルールで集まる。気に入らなければ外せばいい。

注意書きを貼る人(ラベラー) こわい画像やニセ情報に印をつける係も、選んで入れかえられる。「どれをかくすか」を会社だけが決めるのではない。

ならんでいる画面はシンプルだ。広告が流れてこない。数字がやたらと光ったりもしない。使いはじめて五分で全部わかる。これは今のところ Bluesky のいちばん実感しやすい良さだ。

5 — 理想と現実

言っていることと、できていること

ここまで書いたのは設計図の話だ。設計図どおりの建物が建っているとはかぎらない。並べて見てみる。

理想

倉庫は誰でも建てられる。世界じゅうにバラバラの倉庫が立ちならぶ。

現実

ほとんどの人が Bluesky 社の倉庫を借りている。自分で建てた人はごくわずかだ。できることと、みんながやることは違う。

理想

集配所も組み立て係も、いろんな人がやればいい。

現実

世界じゅうの投稿を全部あつかうには、大きな機械と高いお金がいる。やれる人が少ない。ここが今いちばん細くなっている場所だ。

理想

会社が変になっても、引っこせばいいから平気だ。

現実

大勢が一斉に引っこす、という事態はまだ本当には起きていない。逃げ道は用意されているが、まだ試されていない。

理想

自分のデータは自分のもの。

現実

「自分のもの」は「持ち運べる」という意味であって、「秘密にできる」ではない。投稿はふつう、誰でも読めるし、まとめて集められる。しかも、非公開アカウントがない。

理想

誰にも支配されない広場になる。

現実

Bluesky は会社で、お金を出した人がいる。もうけかたはまだ手さぐりだ。いまのところは「出口のある会社のサービス」と言うのが正しい。

理想

いろんな考えの人が集まる。

現実

人数はほかの大きなSNSよりずっと少ない。話題や考えかたもかたよりやすい。静かで居心地がいい、という言いかたもできる。

6 — まとめ

それで、何がうれしいのか

むずかしい話をぜんぶ落とすと、残るのは二つだ。

画面がじゃまをしない。広告がなく、時間順に読める。何を見せられているのか自分でわかる。

出ていく道がある。気に入らなくなったとき、荷物を持って出られる。使う理由が「出られないから」ではなくなる。

それがどこまで本物かは、まだ決まっていない。仕組みは用意されているが、使われていない部分が多いからだ。やってみないとわからない、という段階にある。

用語のたな

出てきた言葉

AT Protocol
Bluesky の土台になっている約束ごと。この約束を守れば、誰でもつながるアプリを作れる。
PDS
あなたの投稿がしまわれる倉庫。引っこしのときに動くのはこれ。
Relay
倉庫を見回って新しい投稿を集め、流す集配所。
AppView
集まった投稿を、会話や検索の形に組み立てる係。
DID
名前を変えても変わらない、あなたの番号。
ハンドル
画面に出る名前。自分のホームページのアドレスを使える。
フィード
投稿の並べかた。誰でも作れて、選んで入れかえられる。
ラベラー
投稿に注意書きを貼る係。これも選べる。